話題となっている語、いかにも今という時代を感じさせる新しい用語、馴染みの語の新しい用法をご紹介します。過度に専門的と思われるような用語はできるだけ避けたいと考えています。(野島明) |
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No.41 "rape"
動詞もしくは名詞。果たして以下の訳語で適切か。
ごう‐かん【強姦】暴行・脅迫の手段を用い、または心神喪失・抗拒不能を利用して婦女を姦淫すること。無理やり女性と交わること。強淫。婦女暴行。(『広辞苑 第四版 CD-ROM マルチメディア版』1996年(EPWING規約第3版準拠))
広く世間の人々の耳目には達していながら、信頼できる報道機関によって伝えられることの極めて少ない刑務所内での強制的性行為[prison rape]の現実を教えてくれる貴重な調査記事から。
受刑者の強制的性行為は刑務所の神話学において極めて確立した地位を占めているため、服役に言及することは性的暴行を受けることに関わる冗談となることがしばしばある。
(Little Sympathy or Remedy for Inmates Who Are Raped By TAMAR LEWIN from New York Times ON THE WEB, April 15, 2001)
一年間で20人以上の同房囚に強制的に性行為を行われ、その結果エイズに感染したと語るアーカンソー州で偽造小切手の罪で懲役刑に服している受刑者ケンデル・スプルースは、刑務所の担当者を告訴し、残酷で異常な罰を告発した。
「女性が強姦された場合、それが深刻な心的外傷を与える出来事であることを我々は皆知っています。しかし、性行為を強制されることは男性にとっても少なくとも同じくらい深刻なことです。彼らにはそのことについて話すことが必要になります。彼らは助言を必要としています。刑務所の職員は、強制的性行為に脅かされていたり、実際に襲われた受刑者に対して適切な対応をする必要があります。また、我々が皆認識する必要があるのは、これは根の深い制度的問題であるということです。」
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