Topics Around The World

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No.41 "A Hope for Peace Dies With an Israeli Brother" (By Sharon Waxman, Washington Post Staff Writer, Washington Post.com, Saturday, October 14, 2000)

   「平和への希望、一人のイスラエル同胞とともに葬られる」。

   署名入り記事である。記者名は"Sharon Waxman"

   是非、No.42 " Israel in Shock as It Buries Mob's Victim" (By DEBORAH SONTAG, The New York Times ON THE WEB, October 14, 2000) にも目を通してほしい。 

   パレスチナ人群集のリンチで殺されたと伝えられているイスラエル軍兵士の一人(Vadim Nourjits)の兄(Michael Nourjits)が弟の棺を前に語っている言葉。

"We are the sons of God," intoned Nourjits's older brother, Michael , over the coffin. "They are the sons of Satan. We cannot make peace with the sons of Satan, but I hope you rest in peace."

「私たちは神の息子だ。彼らは悪魔の息子だ。悪魔の息子たちとは平和を実現することはできない。しかし、私はお前の穏やかな休息を願っている。」

   以下は、葬儀参列者の一人(Ilanit Chafuta、34歳)の言葉。
"We'll bury and bury and bury our loved ones, and they'll kill and kill and kill our loved ones," lamented Ilanit Chafuta, 34. "Is that the way it's supposed to be forever? I'm sick of sitting with my hands folded. We have to do something."

「私たちはこれからも愛するものたちを葬りつづけ、彼らはこれからも私たちの愛するものたちを殺しつづける。いつまでもこんな風なんだろうか。手を握りしめて座しているのにはうんざりだ。どうにかしなくてはならない。」

   イスラエル軍兵士(Vadim Nourjits)の居住地(殆どがロシアからの移住者からなる町)Or Akivaの副市長Alexander Rovnyの発言。
"We think the Israelis are masochists, trying to make peace when there's no such thing," said Alexander Rovny, Or Akiva's vice-mayor, as the crowd gathered round. "We're not Americans or Israelis, we're Russians, and we're not afraid of war. We came here to build our homes and protect our families."

「我々が思うに、イスラエル人はマゾヒストだ。平和を実現しようとしているがそんなものはないのだ。我々はアメリカ人でもイスラエル人でもない。我々はロシア人だ。したがって、我々は戦争を恐れない。我々がこの地に来たのは自分たちの家庭を築き家族を守るためだ。」

   同副市長の言葉は更に続く。
"We think you can't sell the land and negotiate for peace. You can't buy peace with land. You can't buy peace at all. If the world is exploding, we don't have to be overly humanistic, we have to defend ourselves." He glanced around at approving faces. "If they are barbarians, why do we have to be humanitarians?"

「土地を売り渡して交渉で平和を購うことはできないと我々は考える。土地で平和は購えない。平和を買うことなどできないのだ。もし世界が炸裂しつつあるのなら、我々は過度に人道的である必要はない。我々自身を守らねばならない。もし彼らが野蛮人であるなら、何故に我々が人道主義者である必要があるのか。」

   記者は、イスラエル兵士の遺体の扱われ方を次のように語っている。
Nourjits's body was dumped out of the police station window, his corpse beaten with a metal screen and stomped on by the mob. Nourjits's attackers then tied his body to a car and drove it through the streets to the center of town where it was set on fire.

Nourjitsの死体は警察署の窓から外に放り捨てられ、彼の遺体は金属のついたてで殴打され群集に踏みつけられた。Nourjitsに襲いかかった者たちは更に彼の死体を車に結びつけ、幾つもの通りを抜けて死体を引きずり回した末、町の中心に至り、そこで死体に火を放った。

   その結果、遺体がどうなったか。
There was little left of him to bury today.

今日埋葬できる彼の遺体は殆ど残っていなかった。

   最後に兄(Michael Nourjits)の言葉。
People who believe in God could not do this to another person. What they did cannot be explained in words. Only animals could do such a thing.

神を信じる人間なら人に対してこのようなことはできるはずがない。彼らがしたことは言葉では言い尽くせない。けだものでなければあんなことはできないだろう。

   次のような、私が共有しようもない兄(Michael Nourjits)の思い。
He hung his head, defeated. "I could identify him only from his mustache. Only that."

彼は首うなだれ、打ちひしがれていた。「その口ひげでしか弟であると見分けることができなかった。それしかなかった。 」

   パレスティナの人々の間にも、イスラエルの人々に劣らぬほどの怒りと悲しみが満ち満ちていることを、《極東》の島国に居住する私は冷静に指摘することができる。記者"Sharon Waxman"がイスラエルの人々の怒りと悲しみを具体的に伝えようとすればするほど、イスラエル人に対する私の思いは共感というよりむしろ哀れみと化す。私なら、哀れみをこの身に受けたいとは思わないだろう。その筆力に小才は感じるが、記者"Sharon Waxman"はあまりにも《青く》その精神には《空気が足りない》。

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