Internet Semi : Topics Around The World


No.27 " Ali is this century's greatest athlete" (By Jon Saraceno: USA TODAY, 12/10/99)

  『アリが今世紀最高の運動選手』。世紀末、懐かしい人の、喜ばしい近況を伝える記事を見つけた。

On a blustery day, a man slowly emerges from his farmhouse.

「風の吹きすさぶある日,一人の男が農場内の自宅から姿を現す。」

  この男は記者を "a half-million-dollar custom-made boxing gym on his 100-acre farm" へと導く。中に入る。驚くべき光景を記者は目にする。

Ali opens a closet and slips on a pair of small black boxing gloves. He walks to a heavy bag and begins dancing on his toes, teeth gritted. He whaps the bag, forcing the big lug to gently swing from its mooring. When he's finished he meets up with a speedbag. Within a few seconds, Ali's fists have the dangling air bladder rapping in a satisfying staccato.

Surprisingly rhythmic with his punching, Ali punctuates the workout with a powerful, thudding right hand.

「アリは戸棚を開け,小さな黒いボクシング・グローブをさっとはめる。重いサンドバッグの方へと向かい、つま先立ちで舞い始めるが、歯は食いしばっている。サンドバッグに拳をバシンと打ちつけると,その大きな重りは静止状態からそっと揺れ動く。終えると,パンチングボールに向かう。たちまち,アリの両拳はぶら下がっている浮袋に心地よい断続音を刻ませている。

アリは驚くほど律動的に拳を繰り出しながら,時折ズシンと右拳を力強く打ち込む。」

  つま先立ちで舞いながら「歯は食いしばったままでいる」("teeth gritted")ことがどれくらいあり得ることなのか,眉に唾をつけたくなりはする。とまれ、あの姿("Float like a butterfly, sting like a bee" 「蝶のように舞い,蜂のように刺す』)がそっくり蘇ることはないにせよ、

Parkinson's is no match for Ali.

「パーキンソン病などアリの敵ではない。」

Parkinson's = Parkinson's disease「パーキンソン病」;be no match for 〜「〜には敵わない」

   しかし、筆者は《意地悪く》も、アリの足元に目を凝らす。

I check to see if he's on his heels.

He is not.

「私は,彼がべた足かどうか確認する。

べた足ではない。」

  記者にも意想外であったか。嬉しいではないか。

"Wouldn't that be beautiful: 'Ali Coming Back,'" he says as we leave the gym.

「『素晴らしいことではないだろうか、《アリ、現役復帰》、なんて。』、そう彼は言い,私たちはジムを後にする。」

   ボクサー、モハメッド・アリの姿を瞥見でき、その壮言を耳にすることが出来ただけで十分である。

Of course, there will be no comeback, not in the ring, not anywhere else. That implies he has gone somewhere. Ali is too busy being Ali for that to happen.

「もちろん現役復帰などない。リング上でも、他のどこでも。ということはつまり、彼には他にすることがあるということである。現役復帰するには、アリはアリであることで多忙に過ぎるのである。」

be busy -ing「--するのに忙しい」;"for that to happen" は「for + 意味上の主語 + to不定詞」(〜が--するためには)。

  なぜかアリは多忙なのである。
He works with the Robin Hood Foundation, which feeds disadvantaged mothers. He has visited Morocco, Indonesia and the Ivory Coast for Global Village Champions, which has fed millions during catastrophic events.

「アリはRobin Hood財団と協力して活動しており、この財団は恵まれぬ環境にある母親に対し食糧援助をしている。アリはモロッコ,インドネシア,象牙海岸をGlobal Village Championsのために訪れてもいるが,この機関は大惨事に際しては数多くの人々に食糧援助をしてきた。」

   国内にあってもアリは多忙なのである。
In the meantime, Ali continues to spoil us with his generosity, his enormous empathy for people. Over the years, many have taken advantage of Ali's loving nature. They have conned him, ripped him off, abused him -- even to this day. Ali knows who they are, but he never, ever, will say a bad word about any of them.

「その一方アリは、人々に対するその優しさ、その膨大な共感で変わることなく私たちを包んでいる。長年に渡り,多くの人間がアリの愛情豊かな人柄につけこんできた。彼らはアリを騙し,アリから盗み取り,アリをこき使ってきた、今に至っても,それは続いている。アリは彼らが誰であるか知っている。しかしアリは決して,断じて,彼らのいずれについても一言の悪口さえ言おうとはしない。」

   胸が痛まぬでもないが、黒いボクシング・グローブをはめ、サンドバッグを拳で揺らし、パンチングボールを軽やかに叩き続けるモハメッド・アリに出会えただけで十分である。


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