『雑想雑感』 (野島明) 

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趣味

   実用を忘れ、純然たる趣味として異語を学ぶのであれば、ロシア語に挑むのも一興である。

   定代名詞"caм"(注1)には男性形、女性形、中性形、複数形があって、それぞれ主格、生格、与格、対格、造格、前置格の六通りに変化する。

   こんな煩わしさを目の前にすると、やってやろうじゃねぇか、という気にさせられないだろうか。

   趣味なら《有名な》ラーメンの食べ歩きの方がいいし、《有名》ラーメン店前の行列に身を投じて時間をつぶす方がいいか、やっぱり。

   でも、ロシア語ならいつでもどこでも時間を、それも遥かに大量の時間をつぶせるんだがなぁ。

  

記 〇五年五月

(注1)
ロシア語の"C"は英語の"S"に相当。ロシア語の"M"の活字体は大文字も小文字も"M"という形。"caм"の発音は英語"somebody""some"の発音に相当。"self/oneself"の意。



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