『雑想雑感』 (野島明) 

*

記憶

   「ヴェルレーヌは無意識な生活者……、ランボーは意識的な生活者……」

   こんな一節が小林秀雄のものであるという記憶が私にはあった。確か小林訳の『ランボオ詩集』の解説の一部であったというおぼろげな記憶を頼りに確かめようとしたが、同書の「後記」にこの一節は見当たらない。思い違いであったかと『ランボオ全作品集』(粟図則雄訳、思潮社)の解説(「ランボオ素描」)を当たってみた。そこにも見当たらない。次に小林の著書を当たると『作家の顔』(新潮文庫)に「ヴェルレエヌは恐ろしく無意識な生活者であった。ランボオは恐ろしく意識的な生活者であった」(「ランボオ(一)」)という箇所を見出した。

   おぼろげに正しい記憶。

   ところで、私はいずれの生活者類型に属するか。

   私は即答できる。

  

記 〇五年四月

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