『雑想雑感』 (野島明) 

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日中関係

   ところで、軋みを増す日中関係を決定的に打開する知恵が私にはある。問題は、私の知恵が生かされる場に私が入り込むことは不可能に近いということである。

   私は彼らに拒絶されるであろう。彼らは直感的に私を拒絶するであろう。例えば、もし私が若い頃、あの社会保険庁の就職面接にまで行きつけたとしても、組織の面接官は本能的に、私にはどこか彼らの組織がなんとしても忌避すべき要素があることを嗅ぎつけたに違いないであろうが、それとちょうど同じように、彼らは直感的に、私が彼らの組織には決して迎え入れてはならぬ類の人間であることを察知するであろう。

   私は医者になろうと考えたことはない。今にして思えば、医学部には入れても医学部の六年間を全うすることは、半ば奇跡的幸運(得難い師にめぐり会うという文字通りの奇跡)に恵まれなくては叶わなかったであろう。白いものは白い、黒いものは黒い、と公言して誰憚ることもない私には、社会保険庁にも医者の世界にも日本国外務省にも居場所はない。

   白を白と、黒を黒と認識する私は、認識の主体である私を売り渡すつもりはない。例え賃労働に身体は売っても心を売り渡すことはない。

  

記 〇五年十月

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