『雑想雑感』 (野島明) 

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日本国総理大臣のローマ字署名

   アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソンとの間で交わされた核持込密約文書に当時の佐藤栄作総理大臣はローマ字で "Eisaku Sato" と署名した(注1)。日本国の代表者であることの自覚の欠如であるのか、或いはローマ字による署名など無効であるという意図を暗々裏に秘めたものであったのか。

  リチャード・ニクソンがカタカナで署名したら、と想像してみよ。

   推して知るべし。我は誇るに足ることを為したという自負とまではいかずとも、 己のなしたことに何一つ恥ずべきところなしと信じ、すべてを歴史の審判に委ねる潔さと覚悟があったなら、密約文書の存在を誰にも知らせぬままこっそり自宅に残しておく(注1)などという所業に及ぶはずもあるまい。


記 二千十年七月

(注1)
密使 若泉敬 沖縄返還の代償 (NHK総合テレビ、2010年6月19日(土) 午後9時00分〜9時54分)



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