『破れかぶれ時事想論』 (野島明) 
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二千十年四月

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「3200億円」は如何な貢献の対価なのか

   その莫大な利益は社会に如何な便益を提供したことの、社会に如何な貢献をしたことの対価であるのか。

米金融大手ゴールドマン・サックスが20日発表した1〜3月期決算は、純利益が34億5600万ドル(約3200億円)となり、前年同期比91%増えた。債券や株式などのトレーディング収益が好調だった。事業会社の粗利益にあたる純営業収益は同36%増の127億7500万ドル。 (注1)
   数限りないささやかな《贅沢》を奪い取った末の、今日は一日一食の食事を二食にしよう、食事に鶏の(冷凍)唐揚げを一つ付け加えよう、歩かないでバスに乗ろう、代わり映えのしないおにぎりを持って行くのは止めて昼食は五百円の弁当を買う、自動販売機で缶コーヒーを買って飲む、百円一パック二個入りの鯛焼を買って甘いものを味わう、回転寿司に行く、ラーメン屋でラーメンを食べる、牛肉を使ってすき焼きだ、等々の数知れぬまことにささやかな《贅沢》を奪い取った末の利益である。この世の富には限りがある。

   「470億円」は如何ほどの汗と時間を費やして何を生み出したがゆえに得られた報酬であるのか。

   ゴールドマン・サックスの最高経営責任者は、《彼等が生み出したもの》の一端を教えてくれている。

   「あなたが書いた電子メールに、住宅ローン関連商品で『我々も損を出した。その後、空売りのおかげでそれ以上にもうけを出した』とある。一体いくらもうけたのか」

   27日、米上院の国土安全保障・政府問題委員会の調査小委員会が開いた公聴会。ブランクファイン氏にこう問いただしたのは、2008年の米大統領選でオバマ氏に敗れたマケイン上院議員(共和党)だった。

   ブランクファイン氏は「住宅(ローン関連証券)市場では、07年では5億ドル(約470億円)に満たない程度」と答えた。(注2)

   「空売り」で(即ち「金転がし」で)"nothing"を生み出したのである。"nothingness"はさて有なるや無なるや。即ち、"nothingness"は存在するや否や。

   とまれ、彼等はかねを転がして"nothing"を生み出し、「470億円」を得た。

   果たしてこの世に存在する《限りある富》は公正に分かたれているか。

   明らかに、否である。


記 二千十年四月

(注1)
ゴールドマン9割増益 1〜3月期、3200億円 (nikkei.com/, 2010/4/20 20:40)

フォード社が2009年、自動車等を製造販売して得た利益は34億ドルであった("The total profit for that 12-month period was $3.4 billion.", Ford Reports Profit of $2.1 Billion in Quarter By NICK BUNKLEY, nytimes.com, April 27, 2010)

(注2)
空売り益「ほんの470億円」 公聴会でゴールドマン側 (asahi.com, 2010年4月29日17時0分)


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