『TVドラマ寸評』 (野島明) 
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その五(2006年4月〜6月のドラマ)

初回〜終回

マチベン』(主演:江角マキコ)(NHK)

台詞回しの『ショムニ』臭さはもう少々どうにかならぬものかと思いはするけれども、期待できる出だし。

他の弁護士もの(『七人の女弁護士』と『弁護士のくず』)がお粗末過ぎるからでもあるにせよ、相対的に力作。

竜雷太、あちこちのドラマで活躍が目立つ。ますますよくなっている。

【総評】

並以上の出来。即ち、上出来。

【余滴】

この時間枠の後釜『ディロン〜運命の犬』は初回の出だし数分で退屈。それきり。


ブスの瞳に恋している』(主演:稲垣吾郎)(フジ系)

その演技力が料理の腕前にはほど遠いのは残念至極。主演の稲垣吾郎の相手役に抜擢された村上知子だ。この世の不公平を実感する。

マックの広告で見知った顔蛯原有里は出番も台詞もそれなりに多い役をあてがわれているが、俳優としてやって行くのは難しかろう。

『ランチの女王』(2002年7月〜9月、フジ系)で脇役(塩見トマト役)を演じた伊藤美咲に、『天気予報の恋人』(2000年 4月-6月、フジ系)で脇役(須藤郁子役)を演じた米倉涼子、両名とも何とか様になっていたし、何より彼より、光っていた。

【総評】

回を追うにつれ、時間稼ぎとしか思えないような無駄な画面が目立つようになった。「ブス」はいつまでたっても「ブス」を忘れさせてくれる輝きを発せず、お笑いトリオ「ビースリー」には微塵のおかしさも窺いとれず、「ブスの瞳」に恋する理由もついに不可解のままであった。 最終回まで付き合いはしたが、お粗末の一言。

村上知子と蛯原有里に関する当初の印象と評価は結局変わることはなかった。残念なことだ。

【感懐】

毎夜床を共にすることになる相手選びはくれぐれも慎重に……。


プリマダム』(主演:黒木瞳)(日テレ系)

趣味としてのバレーをドラマの中心にすえるという発想は斬新。なんだか、バレーを習うのも面白いかもしれない、と変な誘惑をされかけている。

ただ、黒木瞳演ずる主婦の憂き世離れっぷりはいささか興ざめ。あれほどによく保存された四十代の平凡な家庭の主婦はほぼ皆無であるし、今どき、あれほどに健気で従順にして殊勝な四十代の妻はこの社会では殆ど絶滅している。

【総評】

出来は?と問われたら、大甘の採点でも「並の下」といったところ。それでも最終回まで付き合ったのは、バレーに求められる身体の動きに関心を抱くようになったからである。しなやかで軽快な身体(注1)を維持するには節制やら種々の陳腐な鍛錬による他に、舞踏という高踏的な手段もあったのである。高踏的であるがゆえに私とは無縁であるが。

最終回のバレーの発表会の演技がお粗末であったのは事実だが、そのことに難癖をつける気など毛頭ない。あの程度まで身体を動かせるようになるにはよほどの練習が必要であることは明白だからだ。

【感懐】

本業あってこその余技であることを思い知らせてくれた中森明菜。本業にもっと精を出せ。身体の鍛錬と「ボイストレーニング」に励め、中森明菜よ。


医龍』(主演:坂口憲二)(フジ系)

若手俳優水川あさみに注目。『西遊記』では三蔵法師一行につきまとう妖怪国のお姫様役(女王役は大地真央)を演じていた。「在り来たりの」ではない不思議な魅力がある。

稲森いずみ――『ロングバケーション』(注2)で「モモちゃん(小石川桃子)」役を演じ、山口智子演ずる「オールドミス」をおちゃらかしていた時代も今は昔。武士の情け、これ以上言うまい。

ところで肝心の主人公であるが、あんなのが医学部を無事に卒業して医者を続けられるなんて、とても信じ難い。あんなの、つまり、独立独歩の人物が、である。主人公の修行時代を垣間見てみたいものだ。

【総評】

久方に面白さ抜群のドラマ。上々の出来。

【余滴】

野口教授役の岸部一徳のくさい演技、よかったねぇ。鬼頭教授役の夏木マリ、格好よかったねぇ。霧島助教授役の北村一輝、出番が少なかったのが残念。もっと出番の多い役につけてやりたい俳優の一人である。主演俳優?格別な印象はないなぁ。


七人の女弁護士』(主演:釈由美子)(テレ朝系)

なんで釈由美子が主演なの?と思っている共演の俳優もきっといよう。もっともな疑念である。釈由美子本人も居心地悪かろうに。

「決めポーズ」も全く決まっていない。第三回で視聴放棄


弁護士のくず』(主演:豊川悦司)(TBS系)

豊川悦司はわざとらしく頬紅まで塗って遊び人(風)弁護士を演じているが、様になっていない。無理し過ぎだね、この役は。

例えば歌手にしたって、声の出る音域には一定の幅が、リズムにも乗れるもの乗れないものがあるということだ。

第四回か第五回で視聴放棄


クロサギ』(主演:山下智久)(日テレ系)

とある繁華街の建物の壁面に掲げられた番組宣伝看板に「騙されたと思って一回観てくれ。」という宣伝文句を見た。騙されたとは思わぬが、二回目を観るほど暇を持て余していない。

どう見たって子供にしか見えない詐欺師に騙される詐欺師などいようはずはなかろうと思うのは私だけではないだろう。若さの悲しさ。

初回で視聴放棄


てるてるあした』(主演:黒川智花)(テレ朝系)

なんでこの若手俳優(黒川智花)が主演なのか?

初回途中で視聴放棄


ギャルサー』(主演:藤木直人)(日テレ系)

見る気にならず。 


特命!刑事どん亀』(主演:西田敏行)(TBS系)

特番を見ただけで十分。お粗末。


トップキャスター』(主演:天海祐希)(フジ系)

「キャスターもの」にしたいのか「どたばたもの」にしたいのか、その方向性が中途半端であるし、 天海祐希と矢田亜希子の絡みも空回り。

しみじみ玉木宏はお粗末。

【総評】

最終回まで付き合って、あぁ、つまんなかった。矢田亜希子はともかく、天海祐希はもっと番組を選んで出演した方が身のためである。


アテンションプリーズ』(主演:上戸彩)(フジ系)

はちゃめちゃは好みだが、でたらめは好みではない。JALを舞台に「現実のはちゃめちゃ」を描くのは、それはそれで一興であるが、JALが舞台の「架空のはちゃめちゃ」には少々無理がある。

瀬戸際を行っているこのドラマ、どこまで付き合えるか不明。たぶん、途中で見放すことになるような気がしている。

結局、第四回か第五回で視聴放棄


警視庁捜査一課9係』(主演:渡瀬恒彦)(テレ朝系)

初回は一回完結ではなかったのがちょっとした驚き。『アンフェア』の影響か、とも思ってみる。

【総評】

毎回それなりの質が保たれていた。並みの上で合格の出来。


おいしいプロポーズ』(主演:長谷川京子)(TBS系)

SRSの「アシスタント」からようやく主役の地位にまで上りつめはした長谷川京子だが、このドラマ、出だしの十分ほどで見限ることになった。また、TBSだ(注2)

初回途中で視聴放棄


シリーズものについては特に思うところあるものだけに触れる。

柳生十兵衛七番勝負』(主演:村上弘明)(NHK)は第二シリーズ。

楽しめる。NHKの時代劇の作りは安定している。

それにしても画面の暗さはどうにかならなかったのか。私の14インチブラウン管テレビで見ていると四十数分中の三十数分は人物の輪郭も動きさえ定かでないほぼ闇の中である。この時代劇に特有の現象と言っていい。同じ時代劇『名奉行!大岡越前』や『剣客商売(特番)』(主演:藤田まこと)(フジ系)にも屋内の場面、夜間の場面は当然のごとくあるのだが、映像が正体を失くすほどの暗さを画面に感じることはなかった。

【総評】

画面が暗すぎて映像になっていない(滅多にする機会のない講評)。出来を云々する以前の致命的難点である。演出家の責任は重大。映画もテレビドラマも映像が生命であるなどという説教が必要なのか。

名奉行!大岡越前』(主演:北大路欣也)(テレ朝系)

このチャンネルこの時間帯の時代劇は見る習慣がついている。それなりの質が保たれているからだ。

【総評】

時代劇に登場する町並みや風景は見ていて楽しい。しみじみ、時代劇を作り続けてほしい。

京都地検の女』(主演:名取裕子)(テレ朝系)

わざわざ録画してまで見ようという気にはならない。

富豪刑事デラックス』(主演:深田恭子)(テレ朝系)

はちゃめちゃもの。他愛ない馬鹿らしさは楽しめる。
これも初回は一回完結ではなかった。

【総評】

続編歓迎。


【総合評価】

第一等は『医龍』、第二等『マチベン』、敢闘賞に『警視庁捜査一課9係』と『プリマダム』。 (シリーズものは除く)


(記 2006年6月)


(注1)
『片言隻句集』その三 参照。

(注2)
『ロングバケーション』(木村拓哉、山口智子主演、1996年4月 - 6月、フジ系)

(注2)
『TVドラマ寸評』その四の(1)(2006年1月〜3月のドラマ) の『輪舞曲』(主演:竹野内豊、チェ・ジウ)評参照。


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