『TVドラマ寸評』 (野島明) 
『TVドラマ寸評』の目次頁

その四の(1)(2006年1月〜3月のドラマ)

初回〜第三回

巧妙が辻』(主演:仲間由紀恵)(NHK)

先行きの苦労が思いやられること一目瞭然の《大河ドラマ》。これから何が誰がどうなるのか、何の楽しみもない。全部分かっているから。

第二回を見て視聴終了決定。大いなる疑問。いい年のおじさん・おばさん俳優ばかり起用したのはなぜか。幕末と比肩し得る若々しい時代を背景にしたドラマなのである。

視聴終了第三号

たまたま第四回を見ることになったが、やはりつまらない。


西遊記』(主演:香取慎吾、深津絵里)(フジ系)

録画を失敗して最期の二十分ほどは見られなかったが、見続けないでか。おなじみの西遊記だ。

それにしても女っぽい三蔵であることよ。

今も瞼に焼きついている菩薩の如き夏目雅子の玄奘三蔵。


Ns’ あおい』(主演:石原さとみ)(フジ系)

若い看護婦(注1)のでしゃばり、度が過ぎているのは決して気のせいではないから、少々憂き世離れした作りのドラマではあるが、助演の俳優陣の多士済々に救われている。


アンフェア』(主演:篠原涼子)(フジ系)

篠原涼子はいつの間にか堂々たる主演俳優になった。

続きも楽しみ。

最近では珍しい続き物であるが、成功している。


けものみち』(主演:米倉涼子)(テレ朝系)

絶好調の初回、と言っていい。主人公の未来につながる現在と過去につながる現在を手早く切り替えて物語を展開する構成はお見事である。

米倉も悪くない。「米倉涼子に足りないもの――松島奈々子の声である。 」と述べたことがある(注2)が、気のせいであろうか、その声に艶が増している。


白夜行』(主演:山田孝之、綾瀬はるか)(TBS系)

初回は出色の出来。二時間近く、全く飽きさせなかった。

冒頭で主人公二人がたっぷり思わせぶりに遭遇する場面とその後の展開には無駄がなかった。冒頭の画面作りにこだわるあまり時間を費やし過ぎたら、『輪舞曲』の二の舞を演ずることにになっただろう。

美しい綾瀬はるかの子供時代を演じたのは『女王の教室』でも陰のある子供を演じた子役で、その横顔など綾瀬はるかによく似ていること。『巧妙が辻』で仲間由紀恵の子供時代を演じた子役の仲間由紀恵にまるで似ていないこと。この子役も『女王の教室』に出演していた。

作品に恵まれ続けている綾瀬はるかの幸運、そして不確定な未来。「幸福な大女優」とは撞着語である。

第二回以降、犯人である主人公たちを動かし過ぎ(主人公たちが動き過ぎ)である。結末が知れてしまう。せめて予想を裏切るような結末が待っていることを願う。

物語り全体を動かさねばなぁ、と惜しまれる。


小早川伸木の恋』(主演:唐沢寿明)(フジ系)

三十七才(という設定)の)男性主人公に、オレは孤独だ、居場所はない、と呟かせる脚本家の信じ難いほどの低水準。ありきたりでミエミエの状況および人物設定。いい脚本家は少ないのだなぁ、と実感する。あるいは、この脚本家には強力な《コネ》でもあるのか、とも疑いたくなる。

こんなドラマもないと私は困る。あれもこれも見続ける時間など到底捻出できないのであるから。

初回で視聴終了第一号


出雲の阿国』(主演:菊川怜)(NHK)

菊川怜が見事に踊れれば、と惜しまれる。無理難題であろう、とは承知しているのだが。

菊川怜よ、遅くはない。踊りも学べ。

すべてがまだまだの菊川怜である。


夜王』(主演:松岡昌宏)(YBS系)

昨年末、今にして思えばこのドラマの導入部ともなっていた「スペシャル版」を途中までは見たことがある。最期までは見なかった。

従って、このドラマ、全く期待しておらず、見るまでもあるまいとも思っていたが一応見た。

意想外なほど出来がよかった訳では決してないが、途中で見るのを止めようと思うほど退屈でもなかった。 


喰いタン』(主演:東山紀之)(日テレ系)

初回は最期まで見た。


氷壁』(主演:玉木宏)(NHK)

初回は最期まで見た。


輪舞曲』(主演:竹野内豊、チェ・ジウ)(TBS系)

二十分見た段階で、我慢して見続けるのが辛くなっていた。耐えに耐えて更に二十分見て、止めた。

小早川伸木の恋』の不出来は脚本に由来するが、このドラマの不出来は明らかに演出家に由来する。大量な無駄な画面。四十五分に収めたら見るに耐えるものに仕上がったかもしれない、とも一刹那思ってはみたが、この演出家の力ではそれも叶わなかったであろうと思い直す。思わせぶりな画面の連続はついに思わせぶりなままであった。

けものみち』や『白夜行』を見てその画面展開を勉強しなさい、とでも言いたくなるが、手遅れであろうな。製作者の責任も重大である。

それと一言、映像の生命は光である。チャン・イーモーの『英雄』を見よ。

もう一言。ジョン・ル・カレではない以上、最初の五分が勝負だ。 スピルバーグの娯楽大作を見直してみよ。

かつて冒頭の数分を見ただけで放棄するに至った『逃亡者』もTBS系であった。TBSにはよほど人がいないのであろうな。

初回で視聴終了第二号。全く見るに値しないこんな番組もないと困ることはすでに述べた。暇を持て余しているわけではないのだから。


神はサイコロを振らない』(主演:小林聡美)(日テレ系)

奇抜な状況設定は期待を持たせたのだが、第二回を見て、無駄な画面の多さと展開ののろさに辟易した。
見続けるかどうかは不確定。


シリーズものについては特に思うところあるものだけに触れる。

相棒』は今やテレ朝の看板番組である。


(記 2006年1月)


(注1)
「女優、女流詩人、女流棋士、女流知事」( 『(続)折々のコラム』)を書いたことを忘れてはいないから、言行不一致を認める。

(注2)
『TVドラマ寸評』その二の(1)(2005年7月〜9月のドラマ) の『女系家族』評参照。


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