『TVドラマ寸評』 (野島明) 
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その六の(1)(2006年7月〜9月のドラマ)

初回〜第五回


誰よりもママを愛す』(主演:田村正和)(TBS系)

なんとなくつまらない。

第一原因は、題材の選択やら背景の設定やら大きな筋立ての欠如やらにあるというより、たぶんに脚本の基本的な出来の悪さにある。瑣末な挿話中のいちいちの台詞に気の効いた一行もなければ見ている私を思わず頷かせたり笑わせたりする要素もない。脚本は言葉から成るのだが、その言葉がなってないのである。

結婚できない男』と比べてみるとつまらなさの正体がはっきりするような気がする。

第三回ほどで視聴放棄


結婚できない男』(主演:阿部寛)(フジ系)

なんとなく面白い。結婚できない男の生態を虫眼鏡で拡大して見せてもらうというのも一興である。ちょこちょこ笑わせてもらっている。

「結婚できない女」役の 我が愛しの夏川結衣。薄化粧もいいねぇ。まぶしいような若い美しさからはずいぶんと遠ざかってしまったと感じはするが、ヒトの、特に俳優の値打ちは若さだけではないさ。


PS 羅生門』(主演:木村佳乃)(テレ朝系)

初回、説明過多、主人公の演説、能弁に過ぎる。

舘ひろし主演でなんでいけなかったのか。言い方を変えると、どうして木村佳乃が主演なんだ。無理やり主役にすえられた挙句、浮きまくっている。やはりテレ朝系の『七人の女弁護士』(主演:釈由美子)についても同様なことをつぶやいた記憶がある(『TVドラマ寸評』その五(2006年4月〜6月のドラマ)参照)。同じような疑問が続くと、下卑た憶測をせよと誘われているような気がしないでもない。木村佳乃やら釈由美子を主演に起用するにはそれ相応のわけがあるのだと。

舘ひろしを特に好きでも嫌いでもない私の目には、舘ひろし主演で何の差し障りもないと見える。それともまたまた下卑た憶測をせねばならぬのか。


CAとお呼びっ!』(主演:観月ありさ)(日テレ系)

どたばたものの貴重な主演俳優としてうまい位置取りをしている観月ありさではあるが、脚本に恵まれないと滑りまくることになる。どたばたもので滑りまくる――あぁ、怖ッ。

話の先々が見え見えとなるような筋立てはご勘弁願いたい。もう少し工夫を。

少々我慢しながら見続けている。


不信のとき』(主演:米倉涼子)(フジ系)

次第に退屈を感ずるようになり、早送りをするようになり、我慢しきれなくなり、とうとう第四回ほどで視聴放棄

理由は明白で、これが「昼メロ」だからである。「昼メロ」は苦手だ。


花嫁は厄年ッ!』(主演:篠原涼子)(TBS系)

岩下志摩の押さえが利いている。

篠原涼子は『アンフェア』(フジ系)(『TVドラマ寸評』その四の(1)(2006年1月〜3月のドラマ) 及びその四の(2)(2006年1月〜3月のドラマ) 参照)の冷たくも熱い刑事役から一転、年増の崖っぷち女子アナの見苦しい奮闘を好演。


マイ・ボス マイ・ヒーロー』(主演:長瀬智也)(日テレ系)

悪くはない出だし。

ところで、年齢を十歳もごまかした十七歳の転入高校生にして組の若頭を務める暴力団組長の長男を主役にすえるのなら、その高校生活に加え、本業での活躍を、即ち、犯罪に勤しむ姿、つまり、全うな市民を食い物にする犯罪者の素顔を描くのも一興である、とは無理な注文か。職業的犯罪者と年齢を偽った十七歳の《真面目な》高校生との二重生活は見ていて退屈なものにはならないはずだ。決して笑えるものにはなるまいし(いや、そうとは限るまい。脚本次第だ)、《真面目な》高校生振りに感動することなど金輪際あるまいが(いや、感動モノのにだって出来るかもしれない。やはり脚本次第だ。が、地上波での放送という制限付きではそれなりの脚本にするのは容易ではなかろうが)。


サプリ』(主演:伊藤美咲)(フジ系)

ご都合主義てんこ盛りの初回。犯人探しのドラマに当てはめれば、主人公の刑事なり探偵がたまたま立ち聞きして得た情報を元に犯人を突き止めた、てなご都合主義がこれに相当するかもしれない。

主人公(伊藤)が車内で拾った携帯に電話がかかってくる。なぜか主人公は見ず知らずの人物である携帯所有者の若造(亀梨)の偉そうな御託に長々と耳を貸す。さっさと電話を切り、携帯はその辺に捨て置いてかまわないところだ。

その後、街頭で二人がすれ違う場面。互いに見ず知らずの二人だ。すれ違ってそのまま遠ざかるだけで十分であろう。何で二人そろって何度も振り返るのかねぇ。

社内で仕事中の伊藤のところにアルバイト役の亀梨が郵送物を届ける。さして忙しそうにも見えない伊藤は机に顔を向けたまま亀梨を見向きもしない。主役(伊藤)の性格をアルバイトに礼の一つも言わないようなものに設定したということか。それなら最初の場面で、拾った電話を無表情にゴミ箱にでも捨てさせて欲しかった。簡単に通せるような筋くらいは通して欲しいねぇ。

伊藤主演ドラマは『危険なアネキ』(フジ系)に続いてまたこけた(『TVドラマ寸評』その三の(1)(2005年10月〜12月のドラマ)参照)。伊藤美咲には期待しているんだが。「ボーダホン」の何種類かのポスターに等身大の看板、欲しい。(ところで、「ヒレオヒッシュ」って何だ?)

他方、冒頭から連続して伊藤と絡む場面に登場する亀梨某という若者、全く魅力を感じないどころか、不細工、という印象しかない。なんで伊藤の相手役に選ばれたんだ。

初回途中で視聴放棄


ダンドリ』(主演:栄倉奈々)(フジ系)

なんでこの若手俳優(栄倉奈々)が主演なのか?テレ朝系の『てるてるあした』(主演:黒川智花)についても同じようなことをつぶやいた記憶がある(『TVドラマ寸評』その五(2006年4月〜6月のドラマ)参照)。

この高校生たちの保護者でも親戚でも知り合いでも担任でも、要するに彼女たちとは無縁の私には高校生たちの高校生ごっこを温かく見守る義理なんぞないだなんて当たり前過ぎて言うも馬鹿馬鹿しい。私はいっとき楽しむためにテレビドラマを見るのであって、昨今の高校生活に関心があるがためにこの番組を見るわけではない。

出演俳優もドラマの中身も私の関心を全くひかない。

第四回ほど視聴放棄。これでも我慢して付き合ってみたんだ。


下北サンデーズ』(主演:上戸彩)(テレ朝系)

上戸彩主演かぁ、と全く期待はしていなかった。『アテンションプリーズ』(主演:上戸彩)(フジ系)(『TVドラマ寸評』その五(2006年4月〜6月のドラマ)参照)での上戸彩にはうんざりしていたのである。

それがどうだ。見続けることになりそうだ。


タイヨウのうた』(主演:山田孝之)(TBS系)

女主人公(沢尻エリカ)に「XP(色素性乾皮症)」という難病を割り当てるなど、今どきのドラマとしては殆ど反則に近い。

沢尻エリカの声(歌声ではない。台詞回しの声だ)、時折すばらしく良い。

夜の場面が多くなるのは主人公に難病を割り当てたせいだが、画面が暗くてよく見えない。『柳生十兵衛七番勝負』(主演:村上弘明)(NHK)について語った際に述べた映像に関する講釈(『TVドラマ寸評』その五(2006年4月〜6月のドラマ)参照)は繰り返さない。

まだ見続けてはいるけれども……。


新・桃太郎侍』(主演:高嶋政宏)(テレ朝系)

主人公の女ったらし振りは板についていない。全体に、地に足が着いていない。未熟だ、高嶋政宏。もうこんなことを言われるほどの若手俳優ではあるまいに。

自分には演じきれないと思ったら断らねばなるまいよ、その年齢になったら。

受けたら、何が何でも演じきってみろ。

もう少し見守る。


シリーズものについては特に思うところあるものだけに触れる。

新・科捜研の女』(主演:沢口靖子)(テレ朝系)。

録画してまで見ようとは思わない。

ところで、『新・御宿かわせみ』(主演:沢口靖子、村上弘明)(テレ朝系、1997年)の沢口靖子はしみじみよかった(村上弘明もよかった)。特に毎回決まりの、二人寄り添って終わる場面の風情は捨てがたいものがあった。

高島礼子、中村橋之助の好演は見られはしたが、NHK版『御宿かわせみ』(2003年〜)は、テレ朝系『新・御宿かわせみ』には及ばない。


(記 2006年8月)





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