『TVドラマ寸評』 (野島明) 
『TVドラマ寸評』の目次頁

その十二の(1)(2008年1月〜3月のドラマ)

初回〜第二回


篤姫』(主演:宮崎あおい)(NHK総合、第一回(六十分)は一月六日)

途轍もない難題(百姓収奪及びその正当化の議論)にさらりと触れて見せた初回。まるで触れもせぬが無難か、さらりとでも触れたのを労とすべきかを見定めるのさえ難題である。さらりと一応触れたは、向後、収奪される百姓が主人公であるはずもなきこのテレビ劇でこの難題を突き詰めることはしないが無視しているわけでもないことの仄めかしであろうか、とは随分と好意的な見方であるかもしれない。この点については、制作者側のお手並み拝見といこう。

一年間続くテレビ劇であるという事情を考慮に入れなければ、初回(六十分)の出来具合は途中で見放したかもしれない程度のものであった。


ハチミツとクローバー』(主演:成海璃子)(フジ系)

我慢しいしい十分ほど見続けたが、製作者の緊張感の欠如は余りにも激烈で、視聴放棄するほかなかった。それにしても、金(膨大ではなかろうが端た金でもなかろう)を撒き散らしながら、なんともまあのんびり作ってるねぇ。

堂々の初回で視聴終了第一号


あしたの、喜多善男』(主演:小日向文世)(フジ系)

録画操作の手違いで初回は見逃した。

第二回を一応覗いては見たが、

第二回途中で視聴終了


斉藤さん』(主演:観月ありさ)(日テレ系)

どうして主役を前面に押し出して初回の冒頭を作らないかなぁ。

十分ほどで視聴放棄。

初回で視聴終了堂々の第二号


交渉人』(主演:米倉涼子)(テレ朝系)

制作者が気合を入れて作っているのが伝わってくる。力が入りすぎと見て取れる箇所も無きにしも非ずだが、気合は多少の瑕も吹っ飛ばしてくれる。

一回完結ならぬ続き物という作りも気合の反映であろうと解釈する。


エジソンの母』(主演:伊東美咲)(TBS系)

冒頭の無様な作り(数分間垂れ流されるノーベル賞授賞式の場面)にも拘らず見続けたのは主演が伊東美咲であるからだった。

無知と無恥の凝縮された問いを連発する子供の登場する場面は大幅に削って、伊東美咲をもっと映して欲しいという切なる願い。鳥はなぜ飛べるのかを問うのであれば、すずめを掌に載せてその身の軽さは何ゆえであるのかを問うてみよ。或いは、なぜ自分は百メートルを9秒70で走れないのかを、なぜ自分は「シャコンヌ」をギターで弾けないのかを問うてみよ。抱く疑問の筋の悪さには愕然とする。脚本家の好奇心の質のお粗末に、ということでもある。

第二回で視聴終了


未来講師めぐる』(主演:深田恭子)(テレ朝系)

深田恭子の容姿もその独特の演技も私は嫌いではない。塾の講師室の風景も教室の風景も全くでたらめではあるが、この場合、筋書きの他愛なさと同様、この劇では目くじらを立てても仕方ないのである。

宣伝時間が長いなぁ。ま、どうでもいいんだけど(さて、宣伝が長々しくてもなぜどうでもいいんでしょうか?)。


1ポンドの福音』(主演:亀梨和也)(日テレ系)

二分間見て視聴放棄。

ボクシングの試合の真っ只中、リングサイドのどこかで客の食べているたこ焼きの匂いに引かれて対戦相手から目を離すなどという冒頭の場面を面白いと見るか、アホくさと見るか、という点についてだが、私には視聴放棄を強いるほどのつまらなさとしか思えなかった。

七人の女弁護士』(テレ朝系、2006年4月〜6月) では「なんで釈由美子が主演なのか」という疑問を抱かされた( 『TVドラマ寸評』その五参照)ものだが、それにしてもどうして亀梨和也が主役なんだろうかねぇ。

初回で視聴終了第三号


薔薇のない花屋』(主演:香取慎吾)(フジ系)

連続テレビ劇の初回の冒頭は斯くあるべきなんですよ、『ハチミツとクローバー』の制作関係者の皆さん、『斉藤さん』の制作関係者の皆さん、『エジソンの母』の制作関係者の皆さん、『1ポンドの福音』の制作関係者の皆さん、ついでにTBSの劇制作関係者の皆さん。

この初回の脚本、巧緻の限りが尽くされていた。これだけやられては誰の手になるものか気にならないはずもなく、最後に確認したら、主演俳優が紹介される前に、脚本 野島慎司、とあった。主題歌は山下達郎だしなぁ。気合入りまくりの『薔薇のない花屋』の初回だった。

上記の劇の制作関係者の皆さん、この初回を「一見、二見、三見」して勉強してください。脚本にそんなに金かけられねぇしなぁ、だって?うーん。ごもっとも、のようでもあり、のようでなくもあり。


鞍馬天狗』(主演:野村萬斎)(NHK総合)

NHKでは出来のいい時代劇が続いたが、これは凡作。見るべきものとてない。そして言っておかわねばなるまい。なぜ野村萬斎が主役なんだ。なぜ野村萬斎が鞍馬天狗なんだ。

第何回かで視聴放棄


だいすき!』(主演:香里奈)(TBS系)

私好みの題材ではないが初回は見終えた。悪くない出来であったということである。

香里奈については、なぜ香里奈が主役なんだ、とは言わない。主役に値する力演を展開している。

問題は今後である。なにせ制作する劇のお粗末さには定評のあるTBSだからなぁ。


鹿男あおによし』(主演:玉木宏)(フジ系)

奇想の冒頭には、この先が楽しみ、と思わせるだけのものがあった。


幻十郎必殺剣』(主演:北大路欣也)(テレビ東京系)

主人公の来歴と、その来歴を構成する事件の概要を丁寧に、つまり、ゆったり描いた初回。拡大版という機会を十二分に活用していた。このゆったりさを退屈から救っているのは、たぶんに主役による押さえである。見るに耐える程度の出来には仕上がっていた。


佐々木夫妻の仁義なき戦い』(主演:稲垣吾郎)(TBS系)

三十分で視聴放棄。

制作関係者は筋立てのいろはも知らぬらしい。いかなる筋立てにするかは作る側の好き勝手、ではない、ということを。物語は始まった瞬間から、作り手を、その物語に固有の法則の支配下に置くのである。

阿呆らしいからTBSについてはもう言わぬ。TBSの病すでに膏肓に入りて、手の施しようなきかに見える。

初回で視聴終了第四号


4姉妹探偵団』(主演:夏帆)(テレ朝系)

初回を最後まで見た。もう見ない。主演がこれほどお粗末では致し方あるまい。

どうして夏帆が主役なんだ。まず声の出し方の訓練だな。演技のお粗末、声の悪さのせいか、しまいには見た目もお粗末に見えてきた。

身の程を弁えぬ女(あるいは男)の暗さは悍ましきことこの上ない。ところで、一月何日かの『ミュージック・フェア』(フジ系)で歌らしきものをがなり立てていた若い女は誰だったのであろう。新垣結衣のように見えたのだが、確信はない。新垣結衣を私は今のところ贔屓にしてはいるが、もしあの歌声らしき音の主が新垣であったとしたら、その身の程知らずは私の新垣への好意をたちまち雲散霧消させることになる。年季奉公のあけぬうちは事務所の言いなりになるしかないんだ、とでも言うつもりであろうか。

初回で視聴終了第五号


フルスイング』(主演:高橋克美)(NHK総合)

何とか十五分は見た。限界だった。ま、学校もんは好みではない上に、普通の学校もんなのだから、これも致し方あるまい。

初回で視聴終了第六号


SP』(主演:)(フジ系)

最終回の前半しか録画されていなかったのはこちらの手違いによるものだったが、別に残念には思えなかった。最後を確認したいという気にもならない。お粗末な最終回だった。珍しい出来事である。なかなかの出来であるとおもっていたものの最終回がこれほど無様な姿を晒すなど。




(記 2008年2月)





表紙頁に戻る
 
© Copyright DIGBOOK.COM
(許可なく複製・転載することを固く禁じます)

  協力:野島明事務所