『TVドラマ寸評』 (野島明) 
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その九の(1)(2007年4月〜6月のドラマ)

初回〜第三回

病院のチカラ〜星空ホスピタル』(主演:菊川怜)(NHK総合)

テレビや映画の演劇とはつくづく不思議な世界だ。経験、力量ともはるかに優る俳優が脇役を務めるなど、誰が格別不思議に思うでもないほど在り来たりのことなのである。他の分野であれば、力量不足の新人選手が四番に座り、未だ髷も結えない新弟子が横綱大関を張るなど到底あり得ないことであろうに。

それだけに責任重大だ。NHKドラマ制作関係者の覚え格別にめでたいかに思われる菊川怜(注1)には、頑張るだけではなく、先輩諸俳優を脇役に追いやって主役を演ずるだけの資格あることを示してほしい。

出だしは悪くない。が、あんな美形の女医はいるのかね、などという言いがかりはともかく、菊川怜には思わず「頑張ってるな」と励ましの言葉をかけたくなる。しかしてこんな励まされ方をするようでは一人前には程遠いのである。


春のワルツ』(主演:ソ・ドヨン)(NHK総合)

韓国のテレビドラマを見るのははじめてである。十数分見て止めた。

つくりが安っぽい上に、進行がとろい。不出来なドラマの典型である。


花嫁とパパ』(主演:石原さとみ)(フジ系)

私には全く縁遠い世界の物語。さて、見るに耐えるだけの出来になっているやらいないやら。

見続けるつもりではいる。


セクシーボイスアンドロボ』(主演:松山ケンイチ)(日テレ系)

初回は何とか見終えて、第二回、展開が余りに緩慢。刑事ものでは刑事が聞き込みに歩き回る場面を音楽入りで延々と垂れ流すことがあるが、そんな手抜きはいまどきご免こうむりたい。

第二回途中で視聴終了


夫婦道』(主演:武田鉄矢)(TBS系)

さて、どうなることやら。武田鉄矢のえぐさにどこまでついていけるか。

殆ど期待はしていない。


孤独の賭け〜愛しき人よ』(主演:伊藤英明)(TBS系)

海猿』( 『TVドラマ寸評』その二の(1)及び 『TVドラマ寸評』その二の(2)参照)では作品に恵まれたと評されるべき伊藤英明の真価が試されることになるなあ、などと思いながら見始めた。

二十数分見たところで視聴放棄。TBSのドラマ制作能力についてはもはや繰り返すまい( 『TVドラマ寸評』その八の(1)の『華麗なる一族』評、更に 『TVドラマ寸評』その四の(1)の『輪舞曲』評参照)。

伊藤英明と長谷川京子が出会う場面のご都合主義、加えて、長谷川京子がいかにも自信たっぷりに「私の体を担保に二千万……」、笑止の限りである。冷静に言わせてもらうと、多少いい女でもただの会社員の体が担保なら、せいぜい二十万というところであろう(期日までに返済できないようであれば利息分として少なくとも一晩くらいは体を提供してもらうが、当然、貸した金も返してもらうことになる。二十万もの借金を一晩か二晩言いなりになったくらいでチャラに出来ると思ったら大間違いである。じゃ、何回寝たら借金をチャラにしてくれるのさ、なんて問われても、一晩か二晩でもう満腹になっちまうからなぁ、とでも返すよりない。これが厳しい現実である。ま、長谷川京子のカッコつけ過ぎがこんな言い草を誘うのである。

脇役で出演するのならまだしも、主演するのであれば出演ドラマを選ぶなんてのは主役を割り振られるようになった俳優のイロハのイだ。この脚本を読んで阿呆らしく思わなかったとしたら、その目はただのガラス球。

藤木直人を他山の石の一つとし、本木雅弘を範とせよ(注2)

初回(途中)で断然視聴終了堂々の第一号


わたしたちの教科書』(主演:菅野美穂)(フジ系)

見る気になれなかった。言い方を変えると、無視。

「学校モノ」は私の好みではないとは言っておこう。


特急田中3号』(主演:田中聖)(TBS系)

主人公、このままだとただの「ビョウキ」野郎だが、妙に憎めないのは、田中聖の外貌と頭悪いという役柄設定が妙に似合っているからだ。 初回、面白かった(最高の褒め言葉である)。

マイ・ボス マイ・ヒーロー』(主演:長瀬智也)(日テレ系) (『TVドラマ寸評』その六の(1)参照)で長瀬智也の弟分役を熱演していたのはしっかと記憶に焼きついている。

思わぬ拾い物と言っていい。


冗談じゃない!』(主演:織田裕二)(TBS系)

大竹しのぶなくて成立しないドラマ。大竹しのぶ、いいねぇ、上野樹里、可愛いねぇ、織田裕二、どうでもいい。 実質、大竹しの主演だな。織田裕二の影薄く、それ以上に、その演技力の至らなさが露出している。この種の軽喜劇に挑戦した勇気は買うが、どれほどの危険と隣り合わせであるのか承知していたのかどうか。

辞書を覗いていてたまたま出くわした語"la beauté du diable"(「悪魔の美」―逐語訳)という言葉の存在する所以に得心する思いである。「平凡なつくりの若い女のかもし出す美しさ」、男を虜にする美しさ愛らしさである。


プロポーズ大作戦』(主演:山下智久)(フジ系)

初回の半分手前で視聴放棄。順当な線であろう。

久しぶりにテレビドラマでその顔を見た三上博史、「妖精」役らしいが、納得した上で出演していようはずもないと思われる。俳優商売、これもまた過酷であることの証だ。

三上博史への忠言だが、本田博太郎(『破れかぶれ時事想論』五) 二〇〇六年一月参照)あるいは石橋蓮司のような活躍の仕方(覚悟)もあってよいのではなかろうか。隠遁生活を余儀なくさせるのは惜しい。三上博史の活躍を願う私である。

初回(途中)で視聴終了第二号


バンビ〜ノ!』(主演:松本潤)(日テレ系)

初回は拡大版らしく、六十分以上続いたが、15分で収まるところだ。

マンガのカット割をそのまま映像化しているようであり、見る側の私は、マンガを読み飛ばすように、映像を見飛ばす、つまり、相当部分を早送りすることになった。作り手の能力の凡庸がよく現れた出来になっている。

読み飛ばすようなマンガであっても毎週読み続けることはあるわけで、このドラマも今のところは見ている。


ホテリアー』(主演:上戸彩)(テレ朝系)

面白くもない寄り道が過ぎる。もう少し演出を工夫しなさい。初回は生命だ。長編小説で言えば、書き出しの数ページなのである。面白くなければ放棄されて当然なのである。

初回(途中)で視聴終了第三号。 


よろずや平四郎活人剣』(主演:中村俊介)(テレ東系)

中村俊介の主役には釈然としないものがあるが、私も時代劇は好きだからなぁ。


生徒諸君』(主演:内山理名)(テレ朝系)

わたしたちの教科書』と同じく、無視。


その男、副署長』(主演:船越英一郎)(テレ朝系)

唯一言にしてつくす、安普請。

船越英一郎には連ドラ初主演作らしいが、なんでこんな安普請を選ぶかなぁ。仕事がないわけでもあるまいし。 見た目は悪い。住み心地もよかろうはずがない。とは言えようやく持てた「マイホーム」、贅沢は言っておれん、あるいは来る仕事は拒まず、というところか。

第二回途中で視聴終了。第二回の後半早送り、最後の数分は見る気にもなれなかった。


八州廻り桑山十兵衛』(主演:北大路欣也)(テレ朝系)

この時間枠の時代劇、見るに耐えるつくりになっている(但しあの『新・桃太郎侍(注3)を除く)。

船越英一郎には連ドラ初主演作らしいが、なんでこんな安普請を選ぶかなぁ。仕事がないわけでもあるまいし。 見た目は悪い。住み心地もよかろうはずがない。とは言えようやく持てた「マイホーム」、贅沢は言っておれん、あるいは来る仕事は拒まず、というところか。

第二回途中で視聴終了。第二回の後半早送り、最後の数分は見る気にもなれなかった。


シリーズものについては特に思うところあるものだけに触れる。

柳生十兵衛七番勝負〜最後の闘い』(主演:村上弘明)(NHK総合)。 ( 『TVドラマ寸評』その五参照)。に続く第三シリーズ。画面の暗さだけはごめんこうむりたいと思うが、さて、どうなっていることやら。

鬼嫁日記いい湯だな』(主演:観月ありさ)(フジ系)

前シリーズは初回で視聴放棄した。今回も初回途中で視聴放棄。甘ったれ、説教、わがまま女――私の好みではない。

喰いタン2』(主演:東山紀之)(日テレ系)

どうでもいいドラマ候補の一つ。

喰いタン2』(主演:東山紀之)(日テレ系)

どうでもいいドラマ候補の一つ。

警視庁捜査一課9係』(主演:渡瀬恒彦)(テレ朝系)

稀有とも言い得る現象が生じている。


(記 2006年4月)


(注1)
出雲の阿国』( 『TVドラマ寸評』その四の(1)参照)では踊りを勉強させてもらい、『病院のチカラ〜星空ホスピタル』では先輩俳優諸氏に演技を鍛えてもらっている。菊川怜はNHKドラマ制作関係者に感謝せねばなるまい。

(注2)
ギャルサー』(日テレ系、2006年4月〜6月)(主演の藤木直人は北島進之助役)

本木雅弘については 『TVドラマ寸評』その三の(1)(2005年10月〜12月のドラマ)の『今夜ひとりのベッドで』評参照。

(注3)
『TVドラマ寸評』その六の(1)及び『TVドラマ寸評』その六の(2)の『『新・桃太郎侍』評参照。 ギャルサー』(日テレ系、2006年4月〜6月)(主演の藤木直人は北島進之助役)

本木雅弘については 『TVドラマ寸評』その三の(1)(2005年10月〜12月のドラマ)の『今夜ひとりのベッドで』評参照。


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