『TVドラマ寸評』 (野島明) 
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その八の(1)(2007年1月〜3月のドラマ)

初回〜第三回

風林火山』(主演:内野聖陽)(NHK総合、第一回は一月七日)

昨年の大河ドラマ『巧妙が辻』(主演:仲間由紀恵)について、「先行きの苦労が思いやられること一目瞭然の《大河ドラマ》。これから何が誰がどうなるのか、何の楽しみもない。全部分かっているから。」と評した( 『TVドラマ寸評』その四の(1)参照)。

私の評がNHKの担当者の耳に届いたはずもあるまいが、これも馴染みの物語『風林火山』の初回は、見知った挿話の焼き直しではなかった、という点では新鮮であった。主人公がいかにも出来すぎの幸運で二度も命拾いをするという展開には辟易させられはしたが。

主演の内野はやはりいい。『不機嫌なジーン』(主演:竹内結子)(フジ系、2005年1月〜3月)の女好き環境生物学者、南原孝史役の《軽演》が私の記憶には好ましく残っている。


浅草ふくまる旅館』(主演:西田敏行)(TBS系)

『水戸黄門』枠に新ドラマ。どうでもいいドラマの好例。

初回だけかもしれないな、見るのは。

結局、見たのは初回だけだった。


東京タワー』(主演:速水もこみち)(フジ系)

甘ったれと説教だけは何とかご勘弁願いたい私に、主人公の甘ったれは相当に耐え難いものであったが、何とか初回は見終えた。

東京タワー  オカンとボクと、時々、オトン』(主演:田中 裕子)(フジ系、06年11月18日)を既に見ている身には、展開のおよその見当はついているわけで、主人公の甘ったれと主演俳優速水のお粗末演技にこれ以上付き合う義理はあるまいし、見続けたいという気もおきない。

どうにか第二回も見はしたが、体力の限界!、ならぬ、忍耐力の限界!

第二回で視聴終了


ヒミツの花園』(主演:釈由美子)(フジ系)

七人の女弁護士』(テレ朝系、2006年4月〜6月) では「なんで釈由美子が主演なのか」という疑問を抱かされた( 『TVドラマ寸評』その五参照)のだが、今やその疑問は氷解している。確たる証拠がない以上ここで文字にして記すわけにはいかないが、「ムニャムニャニャンニャん」という事情があって、またもや釈由美子は主役の座を与えられたのである。ま、彼女の生きる道だ。これ以上は、言うまいぞ、言うまいぞ『(新春ワイド時代劇)忠臣蔵、瑤泉院の陰謀』の最後の場面で稲森いずみ演ずる瑤泉院が口にする決め台詞。 2007年新春ドラマ評 『マグロ』、その他参照)

出来不出来の評は割愛ならぬ単なる放棄。そもそもテレビドラマに大して期待はしていない。

初回で断然視聴終了堂々の第一号


ハケンの品格』(主演:篠原涼子)(日テレ)

アンフェア』(フジ系、2006年1月〜3月)の刑事役に匹敵する篠原涼子のかっこよさ。かっこよ過ぎではあるが。

「ハケン」の「ヒサン」の実相に迫れたら大したものであるが、そこまでの期待はしていない。


エラいところに嫁いでしまった!』(主演:仲間由紀恵)(テレ朝系)

さほど上出来とは言えない誤解を仕組んで物語を展開するなど、工夫が足りていない。

仲間の台詞回しに「ごくせん」調(注1)を聞き取ってしまい、演技に幅のなさを感じる私だ。気のせいであろうか。

初回の最後の部分が未録画で、第二回は手違いで録画失敗。さりとて、格段残念という気にもならない。

何回目まで見たのやら(第三回?、あるいは第四回?、そんなところだ)、いつの間にか視聴放棄


拝啓、父上様』(主演:二宮和也)(フジ系)

物語が「浮世離れしたまま展開する」ことを切に願うものである。下手に現実感をちりばめようなどとせぬ方が倉本聰の身の丈にあった書き方であることは『優しい時間』(主演:寺尾聰)(フジ系、2005年1月〜3月)評で述べた通りだ( 『TVドラマ寸評』その一参照)。

初回、面白かった(最高の褒め言葉である)。

第二回、三回と見て、実に上手いもんだ、というのが感想。倉本聰に浮世離れした話を書かせたら、ということだ。

田原一平(二宮和也)の母、田原雪乃(こじんまりした「Bar Yukino」のママ)役の高島礼子、これまで格別なんとも思わなかったが、この雪乃役の高島礼子、いいねぇ。

木村多江の出番の余りにも少ないのは残念至極。木村多江が着物姿でママを務めるバーでもあろうものなら、外で飲む習慣のない私でさえ、通ってしまうかもしれない。手の届く料金の店であれば、という条件つきだが、余りにも難しい条件であろうという気はする。


きらきら研修医』(主演:小西真奈美)(TBS系)

脚本のお粗末に加え、小西の演技は全体に硬く、その表情は精彩を欠く。主役を演ずるだけの力量、果たして有るや無しや(無し、と見た。言うにも及ぶまいが、主役だけが俳優の生きる道ではない)。川合真介(ガチャピン先生)役の生瀬勝久と絡む場面の多さが運の尽きであったか。医者の役を真面目に演ずる生瀬からどうしようもなく滲み出るおちゃらけ(批判ではない)と小西の生硬が際立ってしまった。

『整形美人』(主演:米倉涼子)(フジ系、2002年4月〜6月)での 藤島一咲役(椎名桔平演ずる藤島流翠の妹役)で見せた思いつめた表情も、『ココリコミラクルタイプ』(フジ系)で見せているはじけた表情も私には大変好ましく映っていたのだが。

初回で視聴終了第二号


演歌の女王』(主演:天海祐希)(日テレ系)

男に騙されても騙されてもなおも懲りずに騙される女心――そんな女の馬鹿さ加減なんぞ到底理解も共感も出来ん、と言ってしまってなに差し支えあろうはずもないところではあるが、あんただって同じようなもんじゃない、と言われたら、返す言葉のない私である。注ぎ込んでも注ぎ込んでも出ない台に、なおも注ぎ込み続けるパチンカーの(余所目から見れば)愚かさの極み(注2)。一方はそろそろ出るはずだと、他方は今度こそ裏切られることはないはずだと信じている。

しかし(パチンカーは思うのだ)いまどきのデジパチの場合、いくら注ぎ込んでも金輪際大当たりの来ない台はまずあり得ないはずであるが(が、そんな台に限ってようやっと来た当たりは単発と相場は決まっている。それが分かっていながら注ぎ込み続けるのである)、とうとう死ぬまで女を騙し続ける性悪男(あるいは、とうとう死ぬまで男を騙し続ける性悪女)はいるはずなのである。五十歩百歩か……、双方の愚かさ加減。

不幸はお節介と二人三脚であるかに見えるのは私の視力に偏向があるせいであろうか。

ところで、 不幸な話なんぞ別に珍しくも(その辺にごろごろ転がっている)なければ面白可笑しくも(不幸が面白可笑しかろうはずもない)ない。

第三回で視聴終了。 


華麗なる一族』(主演:木村拓哉)(TBS系)

初回はかなり我慢しながら最期まで見た。

「語り」を多用して物語の展開を補うという能の無さにも、わが耳を疑いたくなるような背景音楽(奇妙な歌声が響きまくっていた)の趣味の悪さにも閉口しまくっていたから、初回を見終えるにもぎりぎりの我慢をせねばならなかったというわけである。

TBSは既にドラマを制作する力(即ち人)を失っているのかもしれないといよいよ思えてくる。鳴り物入りで始まったTBSドラマを初回で見限ったことはこれまで何度かある。『輪舞曲』(主演:竹野内豊、チェ・ジウ)(TBS系)もその一つであった( 『TVドラマ寸評』その四の(1)参照)。

木村拓哉モノでこれほど退屈したことはない。今後視聴し続けるかどうかは未定。


今週、妻が浮気します』(主演:ユースケ・サンタマリア)(フジ系)

出だしは面白そうと期待させてくれたが、ユースケ・サンタマリア演ずる旦那の退屈な反応、余りにもわざとらしいドタバタにほどなくうんざりさせられることになった。脚本と主役の齟齬甚だしい。

ま、大して力を入れて作っているドラマではなかろうから、それもそれか。

第二回で視聴終了。 

《閑話休題》

――石田百合子はどこかさびしそうだなぁ。

――お主、惚れたな。

――ああよ、前々から好みの女優さ。というか、女、というか。姿もいい、声もいい、演技もまずまずなんだがなあ。《あれ》がひょっとして女優としての致命傷なのかなぁ。

――《あれ》って?

――女だということ。


遠山の金さん』(主演:松平健)(テレ朝系)

なんだ、『暴れん坊将軍』じゃないか。『浅草ふくまる旅館』(主演:西田敏行)(TBS系)と同列の《どうでもいいドラマ』に属する。見ないな、もう。つまり、わざわざ録画をすることはないな、もう。


わるいやつら』(主演:米倉涼子)(テレ朝系)

初回の末尾が録画されていなかったが、面白さ十分。

相手役の上川隆也とのみならず、外連味たっぷりの余貴美子とも絡む場面の多さは米倉涼子には大変な試練であるが、五分に渡り合えたら大したものである。

前髪をそろえて、髪を後ろで束ね、目いっぱい薄化粧の米倉看護士、いいねぇ。

小心な庶民たちの不幸を見せられても少しも面白いとは思わないが、図太く悪い奴等が生き生きと活動する景色は、それなりの見ものなのである。


シリーズものについては特に思うところあるものだけに触れる。

新・はんなり菊太郎』(主演:内藤剛志)(NHK総合)。菊太郎の父親役が田中邦衛から宍戸錠に変わったが、無難な出だし。


(記 2007年4月)


(注1)
ごくせん』(主演:仲間由紀恵)(日テレ系、2005年1月〜3月)

(注2)
私に多少のパチンコ経験があることについてはパチンコ街道をゆく参照。


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