『片言隻句集』 (野島明) 
『片言隻句集』目次頁に戻る

その一


なぜこれほど少ない。

ヒトが自ら命を絶つこと。

*

戦争によってのみならずく、平和によっても人の心は壊れてゆくことにやがて気付いてもいい。

*

彼の操縦する飛行機はどこの飛行場にも着陸しなかった

――甘美極まる一文。

*

幸福な歌姫、ほとんど排反事象。

*

キョウトナラではです。

*

反対車線から跳びこんでくる車、と戦争。

*

テーブルから転がり落ちただけのリモコンが、とうとう見つからない。

*

生きること自体が充足。足すものも減ずるものもない。

*

風に、なにゆえの風か、と問うのか。

風は風、吹く、そのことである。

*

ハ・ッ・ハ・ッ・ハ・ッ・ハ・ッ・

*

we are liable to forget what it was like to be young and their eagerness to make love as well.

*

おまえが俺を捨てても、俺はおまえを捨てない、そう誓ったんだ。

*

冷たい炎

*

命は炎

*

「おれは漆喰の棒だ。はじめから何かに耐えるべく出来てはいない」

*

リンゴ、ゴリラ、ラッキョウ、ウナギ

*

プロバイダーからのバースデーメールが一通だけ

*

熱い全身で浴びる蝉時雨

*

生き続けることに決断はいらない。普通は。

*

海中の石灰岩の洞窟に住むベニクラゲは老いと若返りを繰り返す。

*

García Márquezのこれが最後ともなるかもしれない著作、"Vivir Para Contarla," or "To Live to Tell It." (García Márquez, Fighting Cancer, Issues Memoirs By JUAN FORERO, The New York Times ON THE WEB, October 9, 2002)。

他方には、何一つ語らずとも済む非在。

*

''A man without a woman is like a fish in water.''
 (cf. Gloria Steinem: ''A woman without a man is like a fish without a bicycle.'')

*

死へと向かう私の歩みは、この現し身の日々の歩みと同じくらい、力強い。

*

あのとき逢わなきゃただの人、
逢うても惚れなきゃただの人、
惚れても添わなきゃただの人、
添うても別れりゃただの人     
 (真室川音頭)

*

ヒトは強きゆえに尊からず。

人類は強く、××は今強い。

*

明晰さを与えられるものには明晰さを、

混沌がふさわしいものには混沌を。

*

その心根の優しさを抱くのであれば、老いさらばえた身体を慈しみ抱くことはできる。
愛したのがその美しい肉体であったとしたら、
老い朽ちた肉体を抱き慈しむことはもうできない。

*

―食べ物は何が好きですか。
―私ですか。
―いえ、あなたのいちばん親しい友人は、です。

*

富の不思議。集中してこその富、形である。雲散すれば無である。

*

私の思惟を描き出しているのはこの指先であり、その動きに応じて私の思惟が逐次画面上に表示されてゆく。

*

(その一 了)


次頁に進む

目次頁に戻る / 表紙頁に戻る

 
© Copyright Nojima Akira
(許可なく複製・転載することを固く禁じます)