(続)折々のコラム(野島明)
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歴史研究への米参加拒否 中国、「特殊性」主張 
中国外務省の孔泉報道局長は24日、ゼーリック米国務副長官が提案した日米中3カ国による歴史共同研究について「北東アジアの歴史は特殊性がある」と述べ、事実上拒否する姿勢を示した。(注1)
   ハイチの歴史には特殊性があり(19世紀初頭に独立達成というその先駆性及び独立戦争の担い手の血筋の特殊性)、北米先住民の歴史には特殊性があり(「インド人」という呼称を与えられた等々の特殊性)、……。言うまでもないことだ。

   いずこにもある特殊性の一つをこれぞ特殊性であると言い立てることの特殊性にはとんと不感症の彼ら《西夷》の権力者集団及びその同伴者(注2)の未熟(後進性即ち野蛮(注3))には当面つける薬はない。時間だけが、ゆったりと流れる時間のもたらす熟成だけがその後進性を解消する。少々高めの経済成長率が数年続くくらいのことで日本が辿ったこの百数十年の時間を十分の一に縮めることが出来ようはずもなく、経済成長で貯えたドルやら近代兵備をもってすれば時間を購える、なんてことも、あるわけなかろう。

   ラスコーリニコフに必要なのは「新鮮な空気」(注4)だったが、のものたちに必要なのは「ゆったりと流れる時間」である。

   以下、私の呟き。

日本の特別性を否定するのと同じように世界の特別性を否定する。
日本人の特別性を否定するのと同じように人間の特別性を否定する。(注5)

記 〇六年一月二十六日(木)

(注1)
歴史研究への米参加拒否 中国、「特殊性」主張 (sankei.co.jp、01/24 19:01)

(注2)
漢民族だけを、ましてや中国国民全体を指すわけではないことは言うまでもない。

(注3)
先進性:自己の対象化及び対象化された自己を見つめる眼差しの冷徹。
野蛮:自己の対象化の欠落、必然的に付随する見つめる眼差し(の冷徹)の欠落。(片言隻句集 その六

(注4)
飲んだくれポルフィーリ・ペトローヴィッチは語る。
"What you need now is fresh air, fresh air, fresh air!" (CRIME AND PUNISHMENT translated by Constance Garnett)

(注5)
片言隻句集 その九

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