(続)折々のコラム(野島明)
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グーグルのぐるぐる(?) 
グーグルが中国国内で始めた新しい検索サービスでは「台湾独立」や「ダライ・ラマ」「天安門事件」「法輪功」などの言葉は検索しても結果が示されないか、これに関する中国当局側のウェブサイトしか表示されない。こうした禁止用語は1000語近くになるという。 (注1)
   実はグーグル利用者は既に日本でも合衆国でも密かな検閲でぐるぐる巻きにされているのだとしても驚きはしない。動詞"Google" (注2)(「グーグルする」)に「こそこそ検閲する」(恣意的に取捨選択した検索結果を表示する)の意が追加されるのは必定である。あとは用例の出現を待つのみ。

   グーグル社にしてみれば、社是「悪事に手を染めるな」["Don't be evil"] (注3)に抵触するような気がするが、例えてみれば「時速60キロで走るところを67、68キロで走った」 (注4)程度のちょっとしたことだと思えるからいいか、てなところか。

   ところで、この件の一方の当事者よ、果たして気づかないか?哀れみと蔑みの対象となっていること(それ故の《西夷》 (注5)なのだ)、さらに悲しみの源ともなっていること。

   気づいて傷ついているもの、民の中におらぬはずもない。

記 〇六年一月二十九日(日)

(注1)
グーグル 中国の検閲協力 米対応と一転、低姿勢に(sankei.co.jp、01/27 11:00)

(注2)
『現代英語力標準用例集』【動詞(2)】 "Google" 参照。

(注3)
Google Hits Glitches Over Video Site, China (By Yuki Noguchi Washington Post Staff Writer, washingtonpost.com, Saturday, January 28, 2006; D01)

(注4)
「認識はあったが、行政指導で終わると思っていた。時速60キロで走るところを67、68キロで走っていいと思っていたのは事実」(東横イン西田社長の厚顔ぶり、不正改造“確信犯”、ZAKZAK、 2006/01/28)

(注5)
歴史研究への米参加拒否 中国、「特殊性」主張」(『(続)折々のコラム』)参照。

以下、付録。

我々は常に意識して帽子を脱いでいるものではない。のみならず時には意識的には敵とし、怪物とし、犬となすものにもいつか帽子を脱いでいるものである。ある作家を罵る文章の中にもその作家の作った言葉の出るのは必ずしも偶然ではないかもしれない。(芥川龍之介『侏儒の言葉』)
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