(続)折々のコラム(野島明)
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"a dead-end job"の現場」(注1)のその後

   「"a dead-end job"の現場」を書くきっかけとなった"asahi.com"の一連の記事(注2)はどうやら極めて価値ある「特種」であったと言ってよさそうである。なぜ「特種」とカッコつきなのか。彼らのこれまでの、さらには現在の怠惰を逆照射する結果をもたらしているからだ。広く伝えるに値する対象がそこにあるにもかかわらず、それに対して時には目を瞑りあるいは見て見ぬ振りをしている数々の事柄(注3)の一つが取り上げられたというだけのことであるからだ。

   以下、「偽装請負」関連記事二つ。

キヤノンは31日、生産現場で請負労働者と派遣労働者を明確に分けるため、社内に1日付で「外部要員管理適正化委員会」を設置することを明らかにした。
キヤノン、請負・派遣労働者の明確区分へ委員会設置、yomiuri.co.jp、2006年7月31日21時3分 読売新聞)

請負業者が労働局の許可なく製造現場に人材を派遣する行為を解消しようと、キヤノンは1日、内田恒二社長を委員長とする「外部要員管理適正化委員会」を設置した。請負業者による人材派遣は、本来雇用主が行う社会保険加入や安全管理面で責任があいまいになる可能性もあり、年内をめどに請負労働者と派遣労働者を明確に区分することにした。
キヤノン、「派遣」明確に区分 請負労働者問題、sankei.co.jp、08/02 01:03)

   ところで、「偽装請負」を取材した朝日新聞の記者諸君、「偽装請負」の現実をどう見たのだろうか。ほんの少し言い方を変えると、「偽装請負」労働に従事する労働者たちより格段に恵まれた条件下で働いている朝日新聞の記者諸君は、「女工哀史」に語られた如き日本近代史上の歴史的現実ならぬ、現代日本の現実である搾取をどう見たのだろうか。記者諸君が目撃したのは搾取なのである。搾取という記述にカッコなどいらないのは、それが紛れもない搾取だからである。

   搾取は優勝劣敗ならぬ弱肉強食であり、

まっとうな資本主義者である私は、優勝劣敗を是認し、弱肉強食を否認する。(注4)


記 〇六年八月二日(水)

(注1)
"a dead-end job"の現場」(『(続)折々のコラム』 )参照。

(注2)
特に同上コラムの(注3)参照。

(注3)
「主流報道媒体打って一丸の実にお見事な「情報統制」もしくは「報道自主規制」」(『(続)折々のコラム』)参照。

(注4)
片言隻句集 その十三参照。

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