(続)折々のコラム(野島明)
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英国もドイツもフランスも;合衆国は言うに及ばず 

   十一月三日付 Times Online 見出し頁のトップ記事は"Decline and fall"と題されたブランケット雇用・年金相[the Work and Pensions Secretary, David Blunkett]辞任関連記事である。

   末期を迎えたトニー・ブレア政権は、政権の座にはあっても肝心の力をすでに失っている(“in office, but not in power” (注1))と評されるほど、その形骸化が進行している。

   他国の新聞の社説で、「九月に示された結果 (注2)を基に安定した連立を作りあげるのは不可能であることを認め、有権者に再度の投票を求めるべき時が来ている」 (注3)とお節介とも思える忠告をされる羽目に陥っているのはドイツである。

   深刻さを増すばかりの年金問題や雇用問題の解決に大胆な政治を求められていながら、政局は安定せず政治は停滞している。

   十一月三日付 Le Monde 見出し頁の最上段には大きな写真付きの記事"Une semaine d'embrasement en banlieue parisienne"、火がついて一週間、いまだ収まらないパリ郊外地域での暴動を伝える記事である。暴動の発生地域が、主として北アフリカの旧植民地諸国からの移民が多数居住し、失業・貧困・犯罪の跋扈する環境劣悪な地域であるという点が単純な対応手段による鎮圧を難しくしている。

   《暴動》、「豊かな先進工業国」においてはこれだけで重大な社会問題であるが、移民そして新しい国民が暴動の主体となりもするという現実と今後長期に渡って向き合わねばならないという事態は、すでに五百万人のイスラム教徒を国内に抱えるフランスにとって更に深刻な問題である。

   十一月三日付 Electric Telegraph の見出し頁には、母親の毒殺を試み、その経過を電日録[blog]で公開していた十六歳の高校生に関する記事 (注4)が掲載されているから、その記事に目を通した人々が日本社会の荒涼たるさまを想像する可能性は否定できない。

   合衆国のことは言うに及ばぬものとする。

記 〇五年十一月四日

(注1)
"Michael Howard’s assertion that the Prime Minister is now “in office, but not in power” may come to have an ominous ring of truth." (Leader: Double trouble, Times Online, November 03, 2005)

(注2)
九月に行われたドイツ総選挙の結果。解散時の野党キリスト教民主党[Christian Democrats (CDU)]の獲得議席が与党社会民主党[Social Democrats (SPD)]の獲得議席をわずか数議席上回ったが、少数政党と連立を組んだ場合でも、いずれの勢力も過半数には及ばないため、二大政党の大連立がひとまず成立している。しかし、この大連立は極めて不安定なものと見られている。

(注3)
"The time has come to admit that it is impossible for a stable coalition to be formed on the basis of the results recorded in September and to ask the electorate to vote again. " (Try again, Germany, Times Online, November 03, 2005)

(注4)
Girl of 16 'poisoned mother and charted her decline in internet diary' (By Colin Joyce in Tokyo, Electric Telegraph, Filed: 03/11/2005)

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