(続)折々のコラム(野島明)
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険悪な日中(政府)関係――とりあえずみんな一安心 

   台湾全土に桜一万本を植樹しようという計画の一環として台北の蒋介石記念公園に四百五十本の桜樹が植えられた(注1)

   他方、中国の武漢大学に植えられている六十本ほどの桜樹をめぐって、インターネット上では甲論乙駁の議論が沸騰しており、擁護派と排除派で意見が割れているそうである。擁護派の主張は不明だが、排除を要求する反日活動家の主張は、「桜は日本の残虐な中国侵略の象徴」(注2)であり、「《罪深き樹木》にして《恥辱の花》[“sinful trees” and “flowers of shame”]」(注3)である、ということらしい。

   坊主憎けりゃ袈裟まで、のこれほど滑稽な実例にはそうそうお目にかかれるものではない。中国共産党政府庇護下で《反日》を唱導するものたちの中には相手にするのも馬鹿馬鹿しいほど精神の幼稚丸出しの輩もいることを忘れてはならない(注4)

*

   かくして、さても世界は穏やかであることよ。中国一国の目覚しい台頭で合衆国もEUも戦々恐々なのである。日中の蜜月など、西洋諸国にすれば悪夢の最たるものであろう。日中(政府)関係の悪化を取り上げた記事やら論説を目にする機会が増えたが、何となしに感じられるのは緊迫感の欠如である。さもあらん、緊迫感露わな論調は、日中の蜜月を論ずる際にこそふさわしいものであろうからである。

記 〇六年四月一日(土)

(注1)
"Now local residents stretch their limbs in slow-moving tai chi routines amid a landscape distinctly altered by the addition of 450 cherry trees, a national symbol of Japan." (Japan-Taiwan Ties Blossom As Regional Rivalry Grows By Anthony Faiola, Washington Post Foreign Service, Washington Post.com, Friday, March 24, 2006; A12)

(注2)
"Anti-Japanese activists in China, however, are calling for them to be uprooted because they symbolise Japan’s brutal invasion of China in the 1930s." (Born in war, saved in peace -- the cherry blossoms that may die as friendship cools By Richard Lloyd Parry in Tokyo,, Times Online, March 31, 2006)

(注3)
ibid.

(注4)
「日本で《反中》を唱導するものたちの中にも……」とは言うまでもあるまい。

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