予備校講師の閑談
英語講師・横井順
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合衆国の大学受験事情を垣間見る

これでSATは終わりになるのか―75年の歴史を持つ試験の廃止をカリフォルニア大学が呼びかけたことは広範囲の影響をもたらす可能性がある(記事の見出し)
(Is This the End for the SAT?--A call for the University of California to drop the 75-year-old test could have far-reaching effects BY ANDREW GOLDSTEIN, Time.com, Sunday, Feb. 18, 2001)

  受験対策に心理学者まで登場するところは合衆国らしいのかもしれない。

But Atkinson, 71, is worried about the growing number of parents pouring thousands of dollars into SAT-prep programs (last year an estimated 150,000 students paid more than $100 million for coaching) and even shopping around for psychologists to certify that their kids are disabled so that they get extra test-taking time.(ibid)

しかし、アトキンソン(71)が懸念しているのは、ますます多くの親がSAT対策講座に何千ドルも注ぎこんでいる(昨年には概算15万人の受験生が試験対策授業に1億ドル以上を支払った)ということであり、自分の子供には障害があるのだから試験時間を余計にもらえるということを証明するために心理学者を漁り回ってさえいるということである。

(注1) Atkinson : リチャード・アトキンソン、認知心理学者、試験の専門家、1995年からカリフォルニア大学学長[Richard Atkinson, cognitive psychologist, testing expert and, since 1995, president of the University of California]
(注2) SAT[Scholastic Aptitude Test (合衆国の)大学進学適性試験]はCollege Board (http://www.collegeboard.com/)が制作している。

  このカリフォルニア大学学長は孫娘の通っている予備校[prep school]を訪れてみてぞっとしたのである。
The 12-year-olds, he says, "spend hours each month -- directly and indirectly -- preparing for the SAT, studying long lists of verbal analogies such as 'untruthful is to mendaciousness' as 'circumspect is to caution.'"(ibid)

氏が語るに、12歳の子どもたちは毎月多くの時間を直接間接にSAT対策に費やし、「untruthful[虚偽の]とmendaciousness[偽りであること]の関係は、circumspect[慎重な]とcaution[用心]の関係に等しい」といった語彙的類比を延々と勉強している。

  12歳からSAT[大学進学適性試験]対策勉強をしているというのは目新しい事実であるが、日本の12歳(中学受験生)がこの程度のことを学んでいるからといっていちいち愕然としてはいられない。《老人》にはありきたりの風景には見えなかったのだろう。

  以下はおまけ。
  試験の専門家であるアトキンソンはSATの試験見本を幾つかやってみる。そして、氏の結論。

"America's overemphasis on the SAT is compromising our educational system." (ibid)

「アメリカがSATを過度に重視していることで、我が国の教育制度は危険にさらされている。」

   かくてSATの廃止を提言することになる。
Last week Atkinson said he would recommend that the University of California, one of the largest public systems in the country, no longer use the SAT in its admissions process. (ibid)

先週、アトキンソンは、国内最大の公教育機関の一つであるカリフォルニア大学が今後は入学審査にSATを使わないよう勧告するつもりであると語った。

   おまけ、その2。SAT Tの問題の見本(SATには、言語的及び数学的推論能力を判定する(主として多項選択式の)三時間の試験であるSAT Tと、殆どが多項選択式の一時間の個別分野試験であるSAT IIがある) 。以下、College Boardから。
空欄に入る適語を選択せよ、という問題。

Choose the word or set of words that, when inserted in the sentence, best fits the meaning of the sentence as a whole.

Their ideal was to combine individual liberty with material equality, a goal that has not yet been realized and that may be as -- as transmutation of lead into gold.

1. chimerical
2. indispensable
3. historical
4. cynical
5. inharmonious 

彼らの理想は個人の自由と物質的平等をともに実現することであった。いまだ実現されておらず、鉛を金に変えることと同じくらい〜であるような目標である。

  問題の難易度は「難」とあった。
記 2001年4月9日
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